高圧ケーブルの損傷に注意!
シェアする
高圧ケーブルの損傷発見
令和3年10月に、ある太陽電池発電所の年次点検(停電)を実施しました。
通常どおり打ち合わせを行い、KYを実施した後に停電操作をし、作業着手しました。
点検項目でもある受変電設備の高圧引込ケーブルの絶縁診断を行ったところ、「表1」に示すように白相だけ要注意値を示しました。当日の天候は「晴」ということもあり、天候や気温、湿度というような外的要因が起因することも考えにくく違和感を覚えました。
くわえて、最近のケーブルに関する情報提供として比較的新しい製造年の高圧ケーブルに絶縁破壊による停電事故が発生している事象があるということが脳裏にあったため、あらためて詳細な点検(敷設経路・状況も含む「表2」)が必要と判断しました。
後日、高圧ケーブルの敷設経路における目視が可能な架空ケーブル部分から外観調査をしたところ、柱上で高圧ケーブルが接触しているような箇所があり、高所作業車を使用して柱上で確認したところ、白相の高圧ケーブル被覆が損傷(写真1)し、ケーブルシースが剥き出しとなっている箇所が見つかりました。当発電所は風が強い立地ということもあり、強風が吹くたびに接触し、損傷に至り絶縁抵抗値が低下したと判断しました。
ただちに工事会社さまに依頼し、応急措置(テーピング等)を施し、天候はみぞれがまじるような状況でしたが、再測定を実施した結果、赤・青相の測定値は異常のないことを確認しました。しかしながら白相は要注意値であったため早急にお客さまへは本改修の手配をお願いしました。
●表1(測定日:令和3年10月21日 天候:晴)
相 | シースの絶縁抵抗値(MΩ) | ケーブル絶縁抵抗値(MΩ) | ||
---|---|---|---|---|
赤 | シースの絶縁抵抗値(MΩ) | 140(at 500V) | ケーブル絶縁抵抗値(MΩ) | 20,000(at 10kV) |
白 | シースの絶縁抵抗値(MΩ) | 2(at 500V) | ケーブル絶縁抵抗値(MΩ) | 1,500(at 10kV) |
青 | シースの絶縁抵抗値(MΩ) | 140(at 500V) | ケーブル絶縁抵抗値(MΩ) | 20,000(at 10kV) |
●応急措置後再測定結果(測定日:令和4年1月7日 天候:みぞれ)
相 | シースの絶縁抵抗値(MΩ) | ケーブル絶縁抵抗値(MΩ) | ||
---|---|---|---|---|
赤 | シースの絶縁抵抗値(MΩ) | 60(at 500V) | ケーブル絶縁抵抗値(MΩ) | 100,000(at 10kV) |
白 | シースの絶縁抵抗値(MΩ) | 10(at 500V) | ケーブル絶縁抵抗値(MΩ) | 2,500(at 10kV) |
青 | シースの絶縁抵抗値(MΩ) | 60(at 500V) | ケーブル絶縁抵抗値(MΩ) | 100,000(at 10kV) |
●表2 ケーブル敷設形態(6.6kV CVT 38mm2 350m 製造年 2014年製)
地中埋設部分 | 170m |
---|---|
架空部分 | 180m |
このような事象から、昨今の高圧ケーブルの納入遅延の状況や停電事故を起こしてからでは、すぐにケーブルの手配もできず早期に復旧できない恐れもあります。今回の点検では、日ごろからささいな情報収集と設備の立地環境も念頭におき点検が必要だということをあらためて感じた事象であります。