東日本大震災における本震による火災全111件のうち、原因が特定されたものが108件。そのうち過半数が電気関係の出火でした。
地震が引き起こす電気火災とは、地震の揺れに伴う電気機器からの出火や、停電が復旧したときに発生する火災のことです。
電気火災対策には、感震ブレーカーが効果的です
「感震ブレーカー」は、地震発生時に設定値以上の揺れを感知したときに、ブレーカーやコンセントなどの電気を自動的に止める器具です。感震ブレーカーの設置は、不在時やブレーカーを切って避難する余裕がない場合に電気火災を防止する有効な手段です。
主な感震ブレーカーの種類
感震ブレーカーは、延焼危険性や避難困難度が特に高い「地震時等の電気火災の発生・延焼等の危険解消に取り組むべき地域(※1)」及び「防火地域・準防火地域(※2)」において、緊急的・重点的な普及促進が必要とされています。
内線規程(※3)において、感震ブレーカー(分電盤タイプ)の「地震時等の電気火災の発生・延焼等の危険解消に取り組むべき地域」の全ての住宅等及び「防火地域・準防火地域」の住宅等への設置が勧告的事項となり、それ以外の住宅等への設置が推奨的事項となりました。
- 1:地震時等の電気火災の発生・延焼等の危険解消に優先的に取り組むべきとして地方自治体が指定した地域のことです。
- 2:都市計画法に基づく「防災地域・準防火地域」の木造及び鉄骨造の住宅等(共に耐火建築物を除く)です。
- 3:「内線規程」とは、電気需要場所における電気設備の保安を確保することを目的として作成された民間規格です。設計、施工についての技術的な事項をすべて包含し、これをわかりやすく記述したもので、(一社)日本電気協会需要設備専門部会において作成されました。
感震ブレーカー設置の留意点
製品ごとの特徴・注意点を踏まえ、適切に選びましょう!
分電盤タイプ(内蔵型)
分電盤に内蔵されたセンサーが揺れを感知し、ブレーカーを切って電気を遮断します。
分電盤タイプ(内蔵型)
分電盤に感震機能を外付けするタイプで、センサーが揺れを感知し、ブレーカーを切って電気を遮断します。
※漏電ブレーカーが設置されている場合に設置可能
コンセントタイプ
コンセントに内蔵されたセンサーが揺れを感知し、コンセントから電気を遮断します。
簡易タイプ
ばねの作動や重りの落下などによりブレーカーを切って電気を遮断します。
感震装置のはたらき【分電盤タイプの場合】
感震ブレーカーの設定に際しては、急に電気が止まっても困らないための対策と合わせて取り組むことが必要です。
- 生命の維持に直結するような医療用機器を設置している場合、停電に対処できるバッテリー等を備えてください。
- 夜間の照明確保のために、停電時に作動する足元灯や懐中電灯などの照明器具を常備しましょう。
- 感震ブレーカーの設置に関わらず、地震時やその他の自然災害時にも大規模な停電が発生するおそれがあることから、平時から停電対策に取り組みましょう。
耐震対策等と合わせて取り組むとさらに効果的です。
- 避難路の確保等のために、建物の耐震化や家具の転倒防止等に取り組みましょう。
- 復電する場合には、事前にガス漏れ等がないことの確認や、電気製品の安全の確認を行ってください。
- 仮に、復電後、焦げたような臭いを感じた場合には、直ちにブレーカーを遮断し、再度、安全確認を行い、原因が分からない場合には電気の使用を見合わせることが必要です。
- 定期的な作動性能の確認や、必要に応じて部品等の交換を行いましょう。
内閣府は防災情報のページで、大規模地震時の電気火災の発生抑制に関する検討会の報告書や感震ブレーカーの普及啓発チラシを掲載するなど、電気火災対策の普及に努めております。詳細は下記リンク先をご確認ください。